ヒト・コト・ミライが交差する
リアルプレイス │ エイチ

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produced by amana

CASE

伝統ブランドに求められる革新の力、アートの力

日本が誇るジュエラーの老舗・MIKIMOTO。世界初の真珠養殖に成功して以来、125年にわたってパールの魅力を国内外に伝えています。2017年はMIKIMOTOにとって銀座本店をリニューアルした節目の年。これに合わせて刷新されたカタログを手がけたのが、写真雑誌『IMA』の制作チームです。例年にない魅力的な仕様で好評を受けたカタログには、『IMA』の美意識とアートの力が詰まっていました。


MIKIMOTOといえば養殖真珠の技術が高く評価される世界のトップブランドですが、真珠以外にも毎年さまざまなハイジュエリーを発表し、高い品質と技術が世界的に高く評価されているジュエラーであることはまだまだ知られていません。2017年は銀座本店をリニューアルする節目の年ということもあり、これまでとは一線を画したカタログ制作が求められました。真珠をはじめとしたハイジュエリーのラインナップをそれぞれ魅力的に紹介して、MIKIMOTOのファンをさらに増やしたい。そんなオーダーを叶えるべく、アーティストとの深い関係の上に成立する表現力、編集力と造本の知見を持つ写真雑誌『IMA』がカタログの企画編集を行いました。

世界から惜しみない賛辞を受ける宝飾ブランドMIKIMOTO。創業者の御木本幸吉氏が、世界で初めて真珠の養殖に成功したのは1893年のことでした。その後、真珠の養殖にとどまることなく、ジュエリー製作にも情熱を注ぎ、1937年のパリ万博に出品した帯留「矢車」で世界的な評価を獲得。86年には、一流のジュエラーだけが軒を連ねるパリ・ヴァンドーム広場に店舗を構えます。

パリ・ヴァンドーム広場の店舗。写真はパリ在中のamanaのフォトグラファーによる撮り下ろし

そんなMIKIMOTOの美意識、技術力を通して商品の魅力を伝え、その貴重な歴史を語る上で「カタログ」は重要なファクターです。すでに、1908年から単に商品を宣伝するというだけでなく、装身具の歴史や文化といった総合的な観点から編集されたカタログ『真珠』を発行していた実績があります。

 

ラグジュアリーを演出する、贅沢な誌面づくり

ブランドのフィロソフィーとプロダクトの魅力を潜在的な顧客層に訴求したい。アップデートされたカタログの核となったのは、「アーティストの眼」によるMIKIMOTOジュエリーの再解釈でした。ハイジュエリーコレクションのコンセプトを踏まえたアーティスティックなビジュアルを実現するため、『IMA』がアサインしたのは3人の個性豊かなフォトグラファーでした。最新コレクションのテーマは「Praise to Nature(自然への賛美)」。古い星座図を模した円形の視野のなかにさまざまなヴィンテージの小物やチャーム、切手などの味のある骨董品とジュエリーを配して、ビジュアルによる独自のナラティブストーリーを展開したのは吉楽洋平氏。ポエティックな表現を得意とする写真家ならではの世界観が、MIKIMOTOハイジュエリーの繊細な魅力を引き出します。

「Praise to Nature」。自然というテーマになぞらえ、ジュエリーを流星や星座群に見立てて独自の世界を作り上げた

パリ・ヴァンドーム広場に舞い落ちるバラの花びらからインスピレーションを受けたコレクション「Les Pétales de la place Vendôme(ヴァンドーム広場の花びら)」のビジュアルはファッションフォトのシーンで活躍する横浪修氏が担当。パールとダイヤの透き通る白い光に支配された世界をモデルとともにしっとりとした空気感で演出します。

「Les Pétales de la place Vendôme」。モデルカットを入れ、コレクションの白い光の世界観をしっとりしたトーンで表現

世界的にも希少な大粒の宝石が圧倒的な存在感を放つコレクション「μ(ミュー) collection」でインパクトのあるビジュアル表現を展開したのは、パリ在住のフランス人のアーティストデュオ、タニア・エ・ヴァンサン。ヴィヴィッドな色面構成でバックグラウンドを作り、撮影したものを再び構築し直すというプロセスを経て生み出される二次元空間が不思議な視覚を創り出します。ユニークなスティルライフ写真によって迫力のある大粒の宝石のゴージャスさ、最高級の天然石だけの持つ特別な色味とコレクションの個性が最大限に引き出されました。

「μ collection」。ヴィヴィッドな色の紙と立体物を組み合わせた独創的な空間にジュエリーが見事に溶け込んだ

こうしてアーティストの視点で表現したMIKIMOTOジュエリーの魅力を、シンプルかつ贅沢な装丁でまとめ、魅力的な一冊に仕上げました。ソフトカバーという制約のなかで高級感を最大限引き出すため、表紙には板紙貼りを採用し、銀座本店の随所を飾る波と真珠を模したパターンのデザインのエンボス加工を施し、ロゴを箔押し。さらに小口は「三方銀」でラグジュアリーを演出し、デジタルでは出せない質感にこだわり、『IMA』のフィロソフィーを反映させた装丁となりました。

板張りやロゴ・図案に施したパール箔、本の裁断面すべてに銀を押す「三方銀」などこだわり抜いた一冊

また、インタビューやエッセイなど雑誌的な要素も加えたいという要望に応えて、コンテンツも充実させ、日英バイリンガルのテキストにしました。デザイナーインタヴュー、パリ・ヴァンドーム広場の店舗や工房でのものづくりの真髄に迫る記事の他、日本の美術工芸の粋を尽くし新装オープンした銀座本店を細部にわたってクローズアップして紹介しています。

こうしてでき上がったMIKIMOTOのカタログは社内外から好評を博しました。伝統と格式はブランドの強み。同時に、日々進化するブランドであることの訴求も大切です。『IMA』が提案したのは、MIKIMOTOの伝統に「革新」の力を呼び込むこと。それは他ならぬアーティストというパートナーの力を借りることで、ブランドの魅力を従来とは違った方法で引き出すことでした。ブランドと顧客のコミュニケーションの幅は、媒介者=メディアの存在によって、より一層豊かな広がりを見せるのです。

いまブランドが求めるのは圧倒的な差別化をはかる付加価値です。そこに力を貸してくれるのが、私たちに新しい視座を与える力を持ったアーティストたち。アートフォトの専門メディアとして培われた企画力と人脈力、そして編集力で、『IMA』はブランドとアートの幸福な出会いを実現します。

IMA

Text by Mitsuhiro Wakayama

2018/7/20

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