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REPORT

「糖」に全てを懸けた
100年企業の新ブランディング戦略

「カンロ飴」をヒット商品にもつカンロ株式会社は、創業100年を超える老舗企業。同社は、『料理通信』の協力のもと立ち上げたキャンディブランド「メゾン・ド・コンフィズリー」や、直営店「ヒトツブカンロ」の出店など、特徴的なブランド戦略を築いてきました。そんなカンロが2017年、40年ぶりに既存のシンボルマークやタグラインを見直し、CI(コーポレート・アイデンティティ)を刷新。新たなブランド戦略を打ち出しています。今回は、その戦略の裏側を探るため、カンロ株式会社コーポレートコミュニケーション本部長の内山妙子さん、クリエイティブを手がけた博報堂ケトルのクリエイティブディレクター・船木研さんにお話を伺いました。


100年企業の創業から現代まで

タジリケイスケ(「H」編集長/以下、タジリ):カンロ株式会社は創業100年を超える老舗企業ですが、2017年からCIの刷新やカンロ飴のリニューアルなど改革を試みています。それでは本日のテーマであるブランディング戦略について伺う前に、まずはカンロのこれまで100年の歩みについて教えていただきたいと思います。

(左から)料理通信社代表取締役の坂西理絵、カンロ株式会社の内山妙子さん、博報堂ケトルの船木研さん、「H」編集長のタジリケイスケ

内山妙子(以下、内山):カンロは、大正元年に山口県で創業されました。当時は焼き菓子など、キャンディだけでなくさまざまなお菓子をつくるメーカーだったんです。「カンロ飴」を発売したのは1955年のことです。創業者の宮本政一が「日本人の味覚にもっと合う飴がつくれないだろうか」と醤油を使った飴を開発・販売したところ爆発的なヒットをし、その後会社名をカンロ株式会社に改称しています。

1977年には初めてCIを導入しました。現在は、キャンディをメインに開発・販売を行なっていますが、当時は高度経済成長の流れのなかで事業の多角化を図っていた時期。「成長」の意味を込めた若葉をイメージしたシンボルマークを掲げました。

平成に入ってからの代表的な商品・ブランドは「ピュレグミ」や「金のミルク」、「メゾン・ド・コンフィズリー」などがあります。「メゾン・ド・コンフィズリー」は、料理通信社さんのご協力のもと立ち上げたキャンディブランドです。

坂西理絵(料理通信社代表取締役/以下、坂西):ブランドリリース直前の2010年1月号には、開発物語を掲載させていただきました。『料理通信』で得た知見・情報を活用して、伴走するような形でブランド立ち上げに関わらせていただきました。

坂西:『料理通信』は創刊当初から年2回のスイーツ特集を組むほど深くスイーツの世界に関わっています。編集部にはスイーツを専門に勉強したり、パティシエ修業経験があるスタッフもいて、スイーツの世界を追い続ける中、カンロさんと出会いました。

坂西:お話をいただいた当時カンロさんは「未来に向けてどんなブランドをつくり上げていくか」というテーマを抱えていました。カンロさんは日本の代表的な調味料、醤油を飴に落とし込み、国民から愛されるカンロ飴で一時代を築いてきた企業です。そういった背景から、私どもからご提案したのは海外の食文化にルーツを持つようなブランドの展開でした。

「コンフィズリー」とはフランス語で砂糖菓子という意味で、フランスでは地域ごとの食材、たとえばハーブやスパイス、果物などを使った砂糖菓子を楽しむ文化があります。日本とは砂糖菓子の位置付けが異なり、キャンディの格が高い。そんな話をカンロさんにさせていただいたところ実際にやってみましょうということになって、立ち上がったのが「メゾン・ド・コンフィズリー」でした。

内山:試作品の数は100を超えました。業界でもこれほど多くの試作品をつくることは珍しく、研究開発に力を入れたブランドです。

私は2005年、カンロ飴50周年のころにカンロ飴のマーケティング担当になりました。カンロ飴はコーポレートブランディングに密接に関わる代表商品。当時、売上が落ち込んでいたカンロ飴を復活させるプロジェクトの担当になったことから、コーポレートブランディングや商品のブランド価値を意識するようになりました。そのようなことがきっかけとなり、「企業の価値をどのように上げていくか」という戦略の部分に日々取り組んでいます。

創業100周年には「ヒトツブカンロ」という新ブランドでJR東京駅構内のグランスタ内に直営店も出店。これも料理通信社さんからお話をいただいたというご縁があります。

坂西:一緒にお仕事をさせていただくなかで本企画の中核を担った編集主幹の君島佐和子とカンロさん担当のメンバーが、ひとつのキャンディができるまでにこんなに多くの課題と考えを経て手元に届くことに本当に驚いていました。飴はシンプルなスイーツですが、カンロさんの飴は口に入れてから最後の余韻までどう味を感じていただくかという設計が巧妙になされています。ノウハウや研究開発力のすごさに感銘を受けたのを覚えています。

当日、お客さんへ配られたヒトツブカンロとカンロ飴

コーポレートとしての戦略を。CI刷新の背景

タジリ:新しい商品・ブランドの展開にも取り組む中、新CIを導入された背景として、どんな理由・タイミングがあったのでしょうか。

内山:前提として、日本では飴があまり大切に扱われていない文化を変えたいという想いが強くありました。家電や車はブランドありきだと思いますが、お菓子のなかでも特に飴はブランドや企業名を意識されない最たるものだと思っています。

一方、フランスでは砂糖菓子一つひとつにストーリーがあったり、コンフィズリーの専門店があったりと、キャンディの格が高いのです。日本でもどうやったらそのレベルに近づけられるか、これがCI変更へとつながっていきました。

内山:弊社にはいままで、商品ごとのブランド戦略はありましたが、全体で統一した戦略がないという課題があったんです。そこで、お菓子業界にもいろいろな会社があるなかでどうやって頭ひとつ抜け出そうかと全体戦略を練ることから始めました。

最近では「糖質制限」という言葉を多く聞くようになり、糖分は敬遠されることが多くなっています。そんな時代に私たちはどう闘うんだろうと考えました。しかし、私たちの強みはやはり「糖」。これまでずっと、糖の研究をしてきた歴史があります。糖は世の中みんなが思っているほど悪者ではないという実態も伝えたい想いもありました。

もちろんネガティブな要素もあるのは重々承知の上で、「糖」を武器にこれからも逃げずに、表に出して生きていこうということを社内で決めました。そこで、最初はシンボルマークは変更せずに、「ひと粒のメッセージ」というタグラインを変更をしようとなった段階で船木さんに相談させていただいたんですよね。

船木 研(以下、船木):そうですね。僕は、2年前くらいからカンロさんを担当させていただいています。初めはピュレグミのブランドだけ担当していました。何かの打ち合わせ後に、立ち話のような形で「コーポレートのメッセージを変えたい」という、ざっくりした相談をいただいて。新しいメッセージの核は「『糖』でいこうと思っている」と聞いて、強烈に印象に残っていたんですよね。

内山:本来であれば予算をつけてオリエンして、というステップを踏むべきなのかもしれませんが、その過程を全て飛ばして(笑)。上層部を説得するには、コピーやモノが無いと難しいところがあるので、そこをなんとか先にお願いできないかと相談をしました。

船木:企業ドメインを「糖」にしたいという話と共に、「飴ちゃん、ご自由にどうぞ」のようなカジュアルな感じではなく、日本でもキャンディをもっと「格の高いもの」として浸透させたい。地域ごとにこだわりと食文化があるフランスのように、キャンディひと粒にも技術と思いが込められていることを伝えたい。そこからがスタートでした。

 

「糖」への逆風のなかから生まれた新CI

タジリ:そのタイミングで、本格的にプロジェクトとして進行していったんですね。どのような形で始めたのでしょうか。

内山:まず、各部署から合わせて30〜40人の社員が集まるプロジェクトチームを立ち上げました。チームメンバーと、船木さんら博報堂ケトルさんも交えた2週に一度のワークショップを、毎回異なるテーマを決めて行いながら進めました。

船木:初めに行ったのは言葉についての議論です。「糖」をドメインにすることは決まっているとはいえ、表現として「『糖』って言う? 言わない?」みたいな議論も行いました。「糖質オフ」や「ローカーボ(低糖質)」などと言われている中、そもそも企業ドメインを「糖」にするってどうなんだ、という意見も出ました。いろんなレベルの方から意見を集約して、最終的に「糖から未来をつくる。」というタグラインに決まりました。その次に考えたのが企業ロゴです。

内山:これまでの若葉をモチーフにしたシンボルマークは、実は社員も「なぜ若葉マークなのか」という理由がほぼ分からないくらいの感じになっていて。パッケージにも入れたり入れなかったり、レギュレーションも明確になかったんです。

変更前のロゴとタグライン

船木:新しいロゴを考えるにあたり、パッケージには必ず入るという前提で、老舗企業らしさと新しさをどのように兼ね合わせていくかを探っていきました。国内外のスイーツ・スナックメーカーのロゴも研究し、詰めていきました。

次に具体的なデザイン検証に入りました。キャンディひと粒に意思があることを伝えるため、最初に決めていたのは飴玉のマークを入れることです。共通してどの案にも入れています。幾つかデザイン案を出し、「パッケージに合うかどうか」「企業の姿勢として堂々と見えるかどうか」、「老舗企業だからあまり振り切らない方がいいのでは」などの観点でデザインを検証しました。

提案したのはAからDで、CとDは先進的な新しいイメージを重視しました。

船木:刷新されたイメージを大きく打ち出すために、全く新しいデザインに変更することで成功している企業も多くあります。一方、Bはレトロクラシックが逆に新しい、みたいな方向性です。その合わせ技がAで、今回決まったロゴです。あとは飴を舐めた甘い感じやレトロな感じを表現したいという想いもありました。

内山:最初見たときは正直意外でした。もっと未来的なものが出てくると思っていたところ、予想外にクラシックな方向性のロゴが出てきたので。でも船木さん的にはすでにイチオシはAだったんですよね。

船木:そうですね。なんとかこれに流れるようにご提案していきました。決してA以外の案が捨て案だったということではないですよ(笑)。例えば「健康のど飴」という商品にCやDのデザインを載せると浮いてしまいます。担当したアートディレクターの勘だけでなく、さまざまなパッケージとの相性を相当計算し、この形をご提案しました。なので今回は、普通の企業のロゴ開発とは少し異なり、「パッケージ」「意思」「コーポレート」と総合的に見た上でのロゴ決定だったんです。

「糖」への覚悟を醸成するためのワークショップ

タジリ:もともとレギュレーションも決まっていない中、CIを刷新するというのは相当な決断がいると思います。しかも、わずか半年ぐらいで提案から新CIを完成されたと伺いました。ここまでスピード感をもって行えた背景として、どのようなコミュニケーションがあったのでしょうか。

内山:まず半年という期限が決まっていたんです。2018年2月にオフィスを中野から新宿のオペラシティに移転したんですが、それは事前に決まっていて。移転するとパッケージの住所も入れ替えになるので、「あ、このタイミングだ」と思ったんです。

そこに合わせないと、お金が倍にかかってしまいます。そういう実情があり、変えられないゴールが決まっていました。逆に期限があったからこそ踏み切れたというところもありました。

船木:企業CIの刷新は2年かかると聞いたこともあったので、今回は、締め切りのお陰も大きいです。加えて、内山さんの社内での立ち回りと意思の強さが良かったのではないでしょうか。

社長の決断の早さもありましたし、社員皆さんの意思もはっきりしていた印象です。半年という期間でしたが、急いでやった感じではなく、ポイントごとにしっかりやるべきことを踏まえてCI刷新ができたと思います。

内山:前提として、博報堂ケトル、船木さんへのパートナーとしての信頼感がとてもあったので、良いものが出てくると確信していました。コピーにしても、全体のデザインにしても。そこからバックキャストでどうやって社内を説得するか、全て逆算をしていって、社内的にみんなが納得するような方向に持っていくのが私の役目でした。

タジリ:社員のみなさんを含めたワークショップは、どのような形で進められたのでしょうか。

船木:ワークショップも、メンバーでつくり上げていきました。やりましょうと提案したのは僕だったのですが、僕は普段、クライアントの課題解決のための相談役として動いているため、特別ファシリテーションが上手いというわけではありません。そういったこともあり、あえて内山さんたちと手弁当でテーマ決めをしていったんです。

たとえばカンロの良いところ・悪いところを議論しましょう、という話だったり。それだけだと悪いところばかり出てきたりもしてしまうので、20年後のカンロを考えましょうとか、いま置かれているカンロの立場を捉えたり、SWOT分析(編注:強み、弱み、機会、脅威の4要素を組み合わせた分析手法)をやってみたり。基本的なワークショップをやっていきました。

毎回テーマを決めながら「糖」というものに対しての覚悟を醸成していく。少し策略的な言い方をすると、そのために逆算したワークショップです。2週に一度の定例の場を使いながら、「やっぱりそうでしょ」とメンバー全員が腹落ちできる空気づくりをしていくための活動でした。

スライドは、ワークショップで議論する様子

内山:プロジェクトの構成メンバーは、カンロという会社の縮図になるよう意識しました。年齢・男女比・役職・職種などのバランスが取れるように、プロジェクトメンバーは挙手制ではなく指名制で調整していったのも特徴的ですね。

部長や課長、営業担当、研究開発部門、山口県にある製造工場からも、2週に一度東京のオフィスに来てもらい、進めていきました。

タジリ:大企業では、社長や役員がトップダウンで決めるようなイメージがありますが、そうではなく社員みんなで空気を醸成していこうというのは、どんな意図があったんですか。

内山:社長、役員、一部の人で決めると後で必ず反発があると考えたんです。ただ、もっと大きな企業になると、今回の私たちのようにできないこともあると思います。うちはまだ中小企業で、人数的にもまとまりやすい。ちょうどいい規模だったのかもしれないです。

船木:ワークショップの様子は、初めて見る光景でとても興味深かったです。「糖」「キャンディ」について、純粋な大人たちが真剣に語り合っている。「それはやっぱり違うんじゃないか」と熱くなっている人がいたり、営業の立場からは「それでは無理だよ、売れなくなる」みたいな意見が飛んだり、真剣な議論が続きましたね。

内山:そうですね。「ドメインを『糖』でいく」と聞いた社員からの反応は最初、「『糖』なんて無理」というものもありました。ところがみんなでひも解いていくと、飴ってほぼ100%糖でできていますし、これ無しでうちの会社はどうやって生きていくの、ってなるんですよね。そういう直接的な言い方はしませんでしたが、そこは船木さんに導いていただいたところがあるかなと。

 

社員自らが考える未来を反映させたコーポレートビジョン

タジリ:実際にいろいろ議論されたなかで、コーポレートビジョンができたんですよね。

船木:はい、そもそもカンロには、こういったピラミッド型のバリュー、ミッション、ビジョンみたいなものが無かったんです。他社さんのお手伝いの際にはよくこういう作業があるんですけど、無かったのでシンプルにつくることになりました。

内山:結局一番効いたのはビジョンとその下に付随する5項目をつくるところでした。これをやってもらったことで、メンバーそれぞれに腹落ちしていったのではないかと思います。

ビジョンには「カンロは糖から未来をつくり、世界中の人を笑顔にするキャンディNO.1企業になる」とあり、その下に「社会に対してどうあるべきか」「商品づくりはどうあるべきか」「グローバルなのか、日本のドメインなのか」「キャンディだけなのか、お菓子全般も扱うのか」といった未来の指針となる要素を5項目に分け、どうあるべきか議論しました。

ポストイットに意見を書いてもらいそれぞれ発表したんですけれども、それがやはり未来を考えるうえでは最も有効だったと思います。このようなワークショップ等を通じて、社員にビジョンやブランドの価値を浸透させていくこと、つまりインナーブランディングが今後とても大事になっています。

ここに行くという目標に対して、みんなが同じ方向を見てオールを漕ぐとことが推進力になります。目標無くみんながバラバラだと船はたどり着けない。それをいかにひとつにまとめるかが、肝だと考えています。

 

飴の地位向上と真の飴文化を広めたい

タジリ:CIが出来上がったタイミングでは「糖」に対するステートメントを新聞広告として発信されたと伺いました。取引先や世間の方からの声としてはどんなものがあったんでしょうか。

内山:お菓子の問屋さんとかも、糖質制限には危機感を持っていて、甘いもの・お菓子が売れなくなるんじゃないかと。そこに対して「カンロさんは思い切ってやってくれて嬉しいよ」という声をいただいたのは嬉しかったです。新聞広告への反響も、ポジティブな意見がほとんどでしたね。

坂西:世の中では糖質制限のことをすごく言われていますが、一方でわれわれメディアでスイーツ特集を組むとスイーツファンって確実にいることが分かるんですよね。ネット上でもスイーツのトレンド情報とか、本当にめまぐるしくいろいろなものが次々と生まれて話題になる。人々がスイーツに対してこんなに関心が高いということにメディアの私たちが驚かされることが多いです。

カンロさんの主力商品であるキャンディは、スイーツ・お菓子のなかでも特に、素材が少ないお菓子なんですよね。糖がダイレクトに商品のほぼ100パーセントを占めていて、あとは香りなどの要素がエキスとして入っている。

キャンディを核にした事業体の会社さんだからこそ、これだけ糖というものに対しての問題意識が高いんだと改めて感じましたね。そこに対して真正面から向き合う、ポジティブに捉えていくという姿勢が素晴らしいと思います。

船木:他の企業だったら商品としての逃げ場ってあると思っていて。何かトッピングをするとか。でも、カンロさんは逃げられない。役員会とかでみんな飴玉を舐めながら、偉い人たちが真剣に議論しているんですよ。そういう光景は、逃げない姿勢を象徴しているんじゃないかなと思います。プロジェクトを全部終えた時に気づきましたね。逃げ場のないジャンルだからこそ覚悟するしかないと。

内山:むしろそっちの方向に自ら追い込んでいるのかもしれませんね。「糖から未来をつくる。」のメッセージから、うちはどうやって成長していくのかと考えた時に、糖から調味料やガムシロップをつくってみるとか、いろいろ逃げ道はあったと思います。しかし結局「キャンディでやる」と狭めた。

でもそれは、あんまりエモーショナルな理由ではなくて。経営の判断としてリソースの問題なんですよね。いままでキャンディをつくってきた研究とか、いまのうちの経済的な利益の規模とか。新しいところへ手を出すとお金がかかっていくじゃないですか。

経営体力的に、そこに手を出すのはまだ早いだろうという経営判断があったのと、キャンディはまだまだ伸ばしていけるという考えがあった。なので今回はキャンディに絞ろうということで、「キャンディ」とビジョンに入れているんです。

タジリ:最後に今後について伺いたいのですが、ビジョンには「世界」という言葉も入っています。海外展開も狙っていくのでしょうか。

内山:そうですね。成長していくにはキャンディ以外に出ていくか、キャンディで世界に出ていくのかの2択だと思います。まだまだうちのおいしいキャンディを食べてもらいたい国がたくさんあると考え、世界の方を選択しました。

タジリ:船木さんは今後のカンロさんの戦略をどう考えていますか。

船木:僕は新しく担当になった企業さんとは5〜10年くらいは付き合おうと考えていて、2年前カンロさんを担当になったときに決めたことがあります。

まずひとつはキャンディ市場の拡大。そのためには「打ち上げ花火」のような施策を打つというより、小さなプロモーションなどの積み重ねに力を入れていきたい。最近、打ち上げ花火的な手法に疑問を感じているんです。たとえば、ある会社が宣伝に100億円出して一発当てるみたいなやり方は旧来型な気がしていて、それよりも、その100億円をヒトツブカンロみたいな事業や広報施策などロングテールで使っていったほうが、後々良い方向に向かうと思っています。

内山:たしかに船木さんは、花火を打ち上げるみたいな企画より、地味かもしれないけれども長年続けて少しずつ貯めていく「ストック型」の施策でブランディング戦略を立ててくださっていますね。

船木:もうひとつはカンロさんには言ってきませんでしたが、自分の中でカンロさんの売上目標をなんとなく決めているんです。おもしろいキャンペーンをやり逃げするのは嫌なので、向き合った結果の指標として、そこを達成していきたい。

そして売上の拡大と合わせて、飴の地位向上をしていけたらおもしろいと思います。何年か後には、飴が「ご自由にどうぞ」ではなくもっと大切なものとして扱われているような、そんな文化が生まれていればいいと思っています。

Photographs by Honami Kawai
Text by Kazuyuki Koyama

2018/12/18

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