ヒト・コト・ミライが交差する
リアルプレイス │ エイチ

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produced by amana

REPORT

クラブシーンから学んだ「パーパス」の重要性

クラブシーンと経営。一見結び付かないようなキーワードが並びますが、企画したのはアマナデザインの「オモシロ未来研究所」。登壇したのは、広告業界で多くのクリエイティブ制作に携わる一方で、クラブカルチャーに精通し音楽評論家として活動するクリエイティブ・ディレクターの門井隆盛さん。

 

門井さんが注目したのは、黎明期より渋谷や西麻布でクラブ経営を行い東京のクラブシーンを牽引してきた、株式会社グローバル・ハーツ代表の村田大造氏。彼にはさまざまな店舗を運営するなかで培った経営への想い、人への想い、培ってきたノウハウがあります。同氏の経営術を織り交ぜながら、門井さんにクラブビジネスを紐解いていただきました。


タジリケイスケ(「H」編集長/以下、タジリ):本日のトークイベントはアマナデザインに発足したカルチャーのシンクタンク「オモシロ未来研究所」の企画です。「クラブシーンが教えてくれたクリエイターのための経営術」と題していますが、クラブと経営にどんな関係があるのかと思われる方もいるかもしれません。しかし、そこにはさまざまなヒントやノウハウ、思考術が隠されているんです。今回はその辺りをクリエイティブ・ディレクターの門井さんに解説いただこうと思います。 

M.C.BOO(アマナデザイン「オモシロ未来研究所」):本日は足を運んでいただきありがとうございます。今回はオモシロ未来研究所の第4弾の企画として門井隆盛さんをゲストにお迎えし、単独公演を行っていただきます。

アマナデザインが立ち上げた「オモシロ未来研究所」のM.C.BOO

M.C.BOO:僕と門井さんは20年以上前からのお付き合いで、出会いは、渋谷や青山のクラブだったと思います。当時勤めていたWieden+Kennedy Tokyoで若者にヒットするようなストリート目線の企画を立ち上げたり、広告の世界でおもしろい企画を次々に出していく姿に憧れを覚えた記憶があります。そんなご縁もあり、今日の会が実現しました。それではさっそく門井さんにご登場いただきましょう。

 

広告、音楽、ビジネスの領域を横断するキャリア

門井隆盛(以下、門井):ご紹介ありがとうございます。今日は貴重な機会をいただいて本当に光栄です。はじめに、私のキャリアからお話しします。私の広告人としてのキャリアはWieden+Kennedy Tokyoから始まりました。当時同社のクリエイティブ・ディレクターで、現在はファーストリテーリングのグローバルクリエイティブ統括などを務める、ジョン・C・ジェイが私の師匠にあたります。そこで私はナイキ、レッドブルなどのブランドコミュニケーションを担当していました。その後、日清食品ホールディングスのブランド戦略室のクリエイティブ・ディレクターに1年ほど就いています。現在は、エクスペリエンスマーケティングを掲げるクリエイティブ・エージェンシーに所属しています。

クリエイティブ・ディレクター、ブランド・ストラテジストの門井隆盛さん。スライドは門井さんがこれまでのキャリアで携わったクリエティブ

門井:1993年ごろから音楽活動もしており、DJやオーガナイザー、音楽評論家、翻訳・通訳などの仕事もさせていただいています。DJとしては、デリック・メイ、ジェフ・ミルズ、ケビン・サンダーソンなどのDJたちと共演しました。

門井:音楽ライター・評論家としては『STUDIO VOICE』への寄稿や『MUSIC MAGAZINE』の年間ベストアルバム選考委員、『Spectator』への寄稿などを行ってきました。

門井: 2019年3月にグロービス経営大学院を卒業し、経営学の修士を持っています。なぜ経営大学院に行ったのかとよく聞かれるんですが、これは日清食品での経験がきっかけにあります。それまでクリエイターとしてキャリアを築いてきたところに、突然ビジネスの世界に足を踏み入れたんですね。ここでやっていくには、しっかりとビジネスの知識、経営学の知識を身に付けねばと。経営学を学んで確信を持ったのは、ビジネスとクリエイティブの間に境界はない、ということです。

 

クラブの始まりは、ホームパーティーだ

門井:では、本論に入っていきましょう。今日お話しするテーマは、数多くのクラブを経営するグローバル・ハーツ代表の村田大造さんとの対話から着想を得ました。

門井:大造さんは、UNDERCOVERの高橋盾さんや藤原ヒロシさんなども通っていた西麻布「ピカソ」、日本語ラップの聖地である渋谷「CAVE」、テクノ・ハウスミュージックの聖地である西麻布「Space Lab YELLOW」などの伝説的なクラブを数々生み出し、日本のクラブシーンの黎明期からいままで、非常に重要なポジションを担っています。2000年代に入ってからも代官山「air」や渋谷「SOUND MUSEUM VISION」、「Contact Tokyo」など、日本のクラブ・カルチャーをつくり上げているお店をたくさん手掛けています。

©️Contact Tokyo

門井:私はクラブ・カルチャー誌『mixmag Japan』にて、“本物のクラブ”を増やすためのコラムを執筆していますが、そこで大造さんにインタビューを行いました。クラブ経営手法やマーケティング、組織マネジメント、起業家精神についてなどについて伺い、私が原稿化をするものです。そのなかで今日の企画である「クラブビジネスを経営学で紐解く」という内容が浮かんだんです。

門井:初めに大造さんに問いたいと考えたのは、“魂”の部分。何のためにクラブが存在するのか、根幹の部分を聞きたいと思ったんです。すると返ってきたのは「クラブの始まりは、ホームパーティーだ」と。

色んな友達が集まれば、楽器をやったり、音楽が好きな人がDJをしたり、歌の上手いやつは歌ったり。ダンスができるやつは踊ったり。そういうやつらが集まって遊んでいた。そうしたら自然と、共通の価値観をもったやつらが集まる場になっていた」(村田大造氏インタビューより)

そういった意味で大造さんは、クラブとはアーティストやクリエイターの人たちが集まる“ホームパーティー”だと定義しました。それが徐々に大きくなり、「遊び」と「ビジネス」の狭間が生まれていきます。

「ホームパーティーなら、カンパや食べ物を持ち寄ればいい。でも、規模が大きくなったら、場所が必要になる。それなりの設備もいるし、働いてくれる人たちも必要になる。そこで、みんなにカンパを募っても、回らないから。その場を作るための『入場料』が必要になってくる。だからお金のためっていう人は、それはそれでいいけれど、お金のためっていうよりは、みんなで楽しむため、楽しませるためのホームパーティの延長線上だと思って、そのために協力しようという気持ちでお金を出してもらうのが理想的だと思う。」(村田大造氏インタビューより)

純粋なホームパーティーは食べ物を持ち寄ればいいですが、大規模になれば場所や設備、働いてくれる人も必要ですよね。するとカンパを募っても回らないから、入場料が必要になってくる。しかしお金儲けのためではなく、ホームパーティーの延長線上だと思って、みんなで楽しむために協力しようという気持ちでお金を出してもらうのが理想的なのだと。

形のない感動や夢、可能性を広げるためにやるのか、ただお金のためにやるのか、そこがクラブ経営の別れ道だと、大造さんは考えているんですよね。

クラブには「何かを表現したい」という想いを持つダンサーやDJ、パフォーマーなど、アーティストが集まります。お金のためにクラブ経営をする人はたくさんいるから、大造さんは、自分は想いを持つアーティストのために「場を提供したい」と考えました。

アーティスト優先でお客さんが二の次、ということでもありません。クラブは“ホームパーティ”だから、アーティストたちの家族・友達がやってきます。彼らのコンテンツを向上させることで、結果的にお客さんももっと楽しんでくれる。大造さんは、この循環をつくることに提供価値を見いだし続けてきた人です。

「誰のための、何のためのクラブなのか」。これは今日最後まで関係する重要な観点です。

アーティストのための場を提供し、お客さんを楽しませる

門井:「誰のための、何のためのクラブなのか」を考え、持続的にクラブを運営していくためには、経営の観点が必要です。経営においては、パーパス(存在意義)が要になります。2019年3月号の『ハーバード・ビジネス・レビュー』のテーマは「PURPOSE」でした。いままさに、「会社は何のために存在して、あなたはなぜそこで働くのか?」が注目されているんです。

このピラミッド図は、経営の全体像を表したものです。まずトップにくるのは「経営理念」。そもそも誰のために何がやりたいのか?ということです。「顧客」と「提供価値」で構成されます。

門井:大造さんにとって顧客とは、クラブに遊びに来る人たち。提供価値は、その人たちに楽しんでもらうことです。

「来てくれたお客さんを楽しませる」というような形で、経営における顧客と提供価値を設定するだけでなく、そこに「情熱」を持っているか。これが重要な観点です。いても立ってもいられずに、自分はこれをやりたいんだ!という想いがなければ、人生を懸けて経営をやり抜くことはできないと思っています。

従業員として動く場合は、その会社のミッションに対して心から「共感」しているかが大切です。その会社のミッションや目標のために、自分が努力して貢献しようと思えるか。従業員がそのような観点を持っていることは重要だと思います。

 

クラブとは、自己表現と共感によるコミュニティ

門井:ここで少し、クラブカルチャーの起こりについてお話ししていきます。みなさんはディスコとクラブの違いが何か分かりますか?

大造さんの説ではディスコは金儲けの場、クラブは自己表現をする場です。これは私自身、世界的に見てもそうだなと思います。大造さんによると東京のクラブシーンの起こりは、もともとディスコに通っていた人たちが飽きてクラブに流れたことがきっかけです。

ユニークなものや多様性を良しとする価値観を持った人たちが、ディスコではなくクラブに通うようになり「自己表現」を始めました。結果的にその現象がディスコとの差別要因になり、新しいカルチャー・価値観をつくっていった。

門井:バブルの頃に私が住んでいた名古屋にはジュリアナ系の箱がありました。お立ち台でお姉さんたちが踊っているようなディスコに通っていましたが、徐々にクラブの存在を知って、そちらに行くようになったんです。少年ながらに「クラブは格好良い、ディスコはダサい」という感覚ができあがっていったんですよね。現在は“チャラい箱”も全てまとめて「クラブ」と表現されるようになってしまいましたが、クラブがディスコをディスラプション(破壊)したと言えるのではないでしょうか。

門井:クラブには共通の価値観を持った人々が集まります。あるいは、価値観が共通する人たちと出会えることが特徴です。つまりクラブは「共感によってつながるコミュニティ」と言えるんですね。クラブ経営におけるマーケティングを考えたときに重要なのは、共感マーケティングであり、ブランディングにも近いものだと思います。

マーケティングとは一般的に言うと、積極的に買ってもらうための仕組みです。顧客ニーズを起点とし、顧客の視点で購買行動を考えていくこと。ブランディングとは、例えば「ナイキは私のブランドだ」と思ってもらい、指名買いをしてもらうための仕組みです。

 

5つのブランド理念からクラブ経営を考える

門井:マーケティングやブランディングの前提には、ブランド理念があります。ここで1冊の本をご紹介したいと思います。『本当のブランド理念について語ろう 「志の高さ」を成長に変えた世界のトップ企業50』。これを読んで私は、ブランド理念の資質とクラブ経営における要素は合致する部分があると思いました。

本書によるとグーグルのように成長を遂げてきたビジネスは、人間にとって大切な5つの要因に関わるブランド力を持っていると言われています。その5つを紹介するので、クラブ経営を想像しながら考えてみてください。

ひとつ目は「喜びを感じさせる」。クラブビジネスでも全く同じことですね。アーティストには場を提供し、お客さんに楽しんでもらうことで、人々に喜びが生まれます。ふたつ目は「結び付くことを助ける」。先ほどお伝えした、クラブは「共感によるコミュニティをつくる」とははまさに、この部分に当てはまります。3つ目は「探求心を刺激する」。これも本当にその通りで、クラブは毎週新しい音楽が次から次へと出てきますよね。探求心がものすごく刺激されます。

4つ目は「誇りを掻き立てる」ことです。先ほどお話ししたディスコとクラブの違いの話に通じていると思いませんか。クラブにいる私って、ディスコに行っているヤツよりも格好良いと、誇りを掻き立てることができる。そして5つめ目は「社会にも影響を及ぼす」こと。クラブカルチャーが及ぼす社会への影響とは、風営法改正のこともそのひとつだと言えます。

引用:ステンゲル研究結果より(『本当のブランド理念について語ろう「志の高さ」を成長に変えたトップ企業50』)

門井:冒頭で、パーパスの重要性もお話させていただきましたが、理念や志を伝えることが求心力になり、マーケティングや採用、組織づくりなど、ビジネスに幅広くバリューを生み出す源となっていくと思います。

 

共感が生み出す、ロング・エンゲージメント

門井:「共感」という部分では、マーケティングの神様と称されるフィリップ・コトラーが「マーケティング3.0」で提唱しています。まず「マーケティング1.0」とは競合がいない状態です。製品の特徴を伝えるだけで売れていきます。「マーケティング2.0」は競合が生まれた状態です。そうすると、自社製品と他社製品を差別化して買ってもらうようになります。「マーケティング3.0」は競合が多数生まれた状態です。例えば、缶コーヒーの売り場を思い浮かべてください。無糖、微糖、ブラックなどありとあらゆる缶コーヒーが並んでいますね。もはや商品の特徴では差別化ができません。そうなったときに何で差別化するかと言うと、パーパスや理念などの「価値観」です。私の持論ですが、このようにマーケットの成熟度に応じてコトラーのセオリーを使い分けるのが、正しい使い方だと思います。

引用:フィリップ・コトラー、ヘルマワン・カルタジャヤ、イワン・セティアン、恩蔵 直人(監訳)、藤井 清美(翻訳)(2010)『コトラーのマーケティング3.0 ソーシャル・メディア時代の新法則』朝日新聞社P19表1-1より

門井:共感という点では、生活者が本当に求めているものを提供することが大事です。その上で消費者心理と、企業理念、自己実現価値や自己表現価値が整合性のとれた形にするというのが、「マーケティング3.0」の考え方です。共感を生むことで、生活者との間に長期的な関係を構築することができます。それが、「ロング・エンゲージメント」です。

出典:『ロングエンゲージメント』(京井 良彦著)

門井:そこにもパーパスが出てきます。「企業哲学の共有」という揺るぎない原理原則が長期的な信頼に繋がっていく。また生活者に参加してもらい、企業と生活者が対話し助け合ってコミュニティを形成していく。こういった「マーケティング3.0」のポイントが、現在のパーソナルマーケティングには必要となっています。そこで、生活者との関係性構築に導いた好例として、ナイキのCMをご覧ください。

<CM内のナレーションの日本語訳>

門井:このような企業の想いを伝える広告が共感を生み、ロング・エンゲージメントを構築することに繋がっていくのです。

 

魂を繋げるDJと、優れたオーガナイザーの存在

門井:ここまでは経営におけるパーパスを明確にし、顧客と提供価値は何なのかを認識することが重要で、特にクラブ経営におけるマーケティングでは共感マーケティングやブランディングが大切だというお話をしました。ここからはクラブにおける人材について、お話をしたいと思います。

まずは、クラブの“魂”を繋げる役割を果たす、DJについて大造さんはこう言っています。

門井:これが大造さん流の「顧客を楽しませる」ということなんです。そしてその楽しさをどう提供するかが、最も難しいところです。DJはこれまで一般的に、集客ができることが大事だとされてきました。でもそうではなくて、最も大事なのは人間性であり世界観なのだと大造さんは明言しています。

日本人には、オタクな職人気質なDJも多いです。ただ、そういう人たちに限って集客を気にしたり、お客さんの顔色ばかり伺ってしまったり、周りに合わせ過ぎてしまうこともある。しかし本当は周りの顔色なんて気にせずに、自分の信念をぶつけていくことが共感を呼ぶのだと大造さんは考えています。

迷っているようなヤツには誰もついてこない。その人の人生や価値観に賛同するから人がついてくるんです。成功するDJには必ず自分を貫き通す意志の強さがあります。

門井:クラブカルチャーの文脈において、DJと同じくらい大切な役割を持つのがオーガナイザーです。企業でいうところのプロジェクトリーダー。企画を持ち込み、アーティストのブッキングやプロモーション、当日の現場進行、清算に至るまで全てを行います。もちろんこれはチームで行うこともあります。

良いオーガナイザーには、自分がつくりたいパーティーのビジョンがあります。そしてそれを表現するための音楽やアート、場が明確に見えている。その上で、自分より能力が高い人を活かすことができ、細かいケアやコミュニケーションも含め、コミュニティに一体感を生み出すことのできる人。そういう人が良い仕事ができ、共感を生むイベントをつくれるのだと思います。

 

店舗スタッフの仕事は作業ではなく、それ以上の目的がある

門井:良いクラブは、DJやアーティスト、オーガナイザーだけでなく、店舗スタッフもすごく楽しんでいます。これは大造さんが経営する渋谷「Contact Tokyo」の写真です。

©️Contact Tokyo

門井:彼らはただお酒を注ぐ仕事、エントランスでの仕事をしているわけではないんです。それ以上の目的が彼らに働いています。大造さんはスタッフにしっかりミッションを伝えていると言います。自分たちが働いているクラブの意味や立ち位置、何を目指しているのかを伝えた上で、スタッフのモチベーションを上げていくわけです。

目の前にある仕事が単なる作業ではなく、幸せになるための手段としての仕事になることで、人生の幸福度が上がっていきます。自分はただレンガを積み上げているのか、レンガを積み上げて大聖堂をつくろうとしているのか、あるいは大聖堂をつくってそこで人を幸せにしようとしているのか。

引用:ロバート・ビスワス・ディーナー博士「NHK 幸福学白熱教室」より

門井:この3つのなかだったら、3つ目が最も幸福度が高いと思います。ドリンクのオーダーを受けてどうぞと差し出す、単にそれだけではなく「このクラブを、“本物のクラブ”にしていくんだ!」というような気持ちや価値をのせて働いていくことが重要なのです。

クラブとは、そもそも自分の好きな人たち・価値観を共有している人々が集まってくる場所。そのバイブスがずっと継続して、愛や幸福の溢れる場所であることが一番大事なことなのではないかと私は思います。

 

DO WHAT YOU WANNA DO. やりたいことをやり切ろう

門井:最後に、昨今ビジネスの世界で言われている「VUCA」とデザイン思考・アート思考についてお話しして、終わろうと思います。

VUCAとは、時代認識を表す言葉です。現代の社会経済環境はとても予測困難な状況に直面していて、その4つの要因の頭文字をとったのがVUCAです。VはVolatility(変動性・不安定さ)、UはUncertainly(不確実性・不確定さ)、CはComplexity(複雑性)、AはAmbiguity(曖昧さ・不明確さ)です。つまり、「ビジネスの一寸先は闇だ」ということです。個人のキャリアもこのような状況下に置かれていると言っていいでしょう。

そんななか、最近デザイン思考やアート思考という言葉を聞くことがあるのではないでしょうか。数え方、答えがある問いならば論理的思考、いわゆるロジカルシンキングです。これは基本的に必ず解決します。しかし正解のない問いもあります。そういう問いの場合は、課題抽出からスタートし、プロトタイプをつくってトライ・アンド・エラーを重ねながら確度の高い答えを出していくことが求められる。ざっくり説明するとこれがデザイン思考です。

一方アート思考とは、自分の心から湧き上がってくるものを出発点として表現をします。いても立ってもいられない自分の信念を表現したいとか、ある意味自分なりの告白というのがアートです。クラブやクラブ経営はこのアート思考に近いのではないかなと考えています。

デザイン思考、アート思考どちらが良い悪いという話ではありません。デザイン思考と言われるなかにもさまざまなフレームワークや手法があります。その場に合わせて選びとっていけば良いものだと思います。

門井:ただ今日ここで最後にお伝えしたいのは、予測不可能な社会のなかで、失敗に対して自分が責任を取らなければならないなら、人から発信されたこと、自分から発信したこと、どちらを選びますか?ということです。 自分がやりたいことをやり切ることを、この予測不可能な社会で考えてみても良いのではないでしょうか。今日はこれで終わりたいと思います。ご静聴ありがとうございました。

タジリ:目からウロコが落ちるようなお話ばかりで、反復して聞き直したいぐらいとても濃い内容でした。それはお話だけでなく、門井さんの熱量も伝わってきたのでここまで引き込まれたんだと思います。本日はありがとうございました。

Photographs by Kim Sungjin
Text by Yuka Sato

2019/6/12

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