ヒト・コト・ミライが交差する
リアルプレイス │ エイチ

ト・ト・ミライが交差する
リアルプレイス │ エイチ

produced by amana

REPORT

未来のビジネスを創出する
“ウェルビーイング”ワークショップ

7月18日に行われた、アマナとNTTコミュニケーションズの「C×4 BASE」との共催企画イベント『アート思考から学ぶ「モノより意味の時代」における競争優位』

 

そこでベストセラー『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』の著者、山口周さんとマツダの「魂動デザイン」の生みの親、同社常務執行役員の前田育男さんから語られたのは、「役に立たないけど意味があるモノ」=「アート思考」への価値観の逆転と、“意味=美意識”を追求してカーデザインを世界レベルへと押し上げたマツダの徹底した拘りでした。

 

ビジネス界でアート思考が叫ばれる昨今、その基盤となる自らの「衝動」を軸にした考え方として世界で注目を集め出したのが「Well-Being(ウェルビーイング)」です。効率や経済というサイエンス的な軸ではなく、「ウェルビーイング=良い状態」という新たな評価基準から暮らしや社会のあり方を考えることで、新たな発想やブレイクスルーが生まれることが期待されています。

 

今回は7月18日のイベント参加者を交えて、アマナの芝浦オフィスPORTでウェルビーイングのワークショップを開催。心からワクワクする、幸福だと感じられるそれぞれのウェルビーイングを深掘りしながら、社会やビジネスの課題解決につながる未来志向なプロジェクト創出のアイデアを探りました。


C×4 BASEの戸松正剛さんと穐利理沙さんのオープニングトークからワークショップはスタート。『アート思考から学ぶ「モノより意味の時代」における競争優位』のトークセッションを振り返り、なぜアート思考がいま求められているのかについて話しました。

NTTコミュニケーションズの戸松正剛さん(左)と穐利理沙さん

ベストセラー著者の山口周さんは、「役に立つ」モノがコモディティ化し希少性がなくなる一方で、「意味がある」モノ・コトが貴重になっていると言います。つまり、これまでは機能的な要件を満たしていることや効率性が重視されていましたが、感性を刺激するストーリーを持つより主観的な基準、つまり、アート思考が重要になっていると訴えます。

大手町プレイスで講演する山口周さん Photograph by Kengo Kawatsura

マツダのカーデザイナーでブランドスタイル統括責任者の前田育男さんからは、移動ツールのひとつとして“役に立つ”モノであった車を、“意味のある”アートフォームへと見事に転換させ、世界の名だたるデザイン賞の大賞を受賞するまでに至ったマツダの10年の軌跡について語っていただきました。そこには、デザインコンセプトとして据えた「魂動(KODO)」と、「CAR AS AN ART(車はアート)」をスローガンに、スピードや効率性重視ではなく、徹底的に拘り抜く前田さんの匠の姿勢がありました。

大手町プレイスで講演する前田育男さん Photograph by Kengo Kawatsura

山口さんいわく、「意味のあるコト」がグローバルニッチ市場を制していくと予想されるなかで、ユーザーや社会の課題解決型のデザインシンキングでは得られない、「自分」が中心となるアート思考にますます期待が高まっています。

そこで、注目を集めているのが「Well-Being(ウェルビーイング)」です。もともと、世界保健機関(WHO)憲章で「健康」を肉体的にも精神的にも社会的にも「Well Being=良い状態」であることと定義するために使われた言葉で、新たな社会やビジネスのソリューションを生むと言われています。

自分が心からワクワクする、幸福だと感じられるウェルビーイングな状態を探りながら、良い状態を実現させるためのビジネス創出の可能性について、ワークショップを通じて探っていきます。

ウェルビーイングを知るためのアイスブレイク

(1)自己紹介

5〜6人を1チームとし、グループ内でまずは自己紹介からスタート。ここで交流を図るための一工夫があります。所属と氏名に加えて「自分の色」を表すカラーカードを1枚選び、それを理由とともに語ってもらいます。また「実は私は◯◯です」と、個としての一面を発表することで驚きや意外性で場がなごみ、話のきっかけとなる共通項を発見するなど、親交を深め合いました。

25色のなかから自分らしい1色を選ぶ。裏にはそれぞれの色が持つ意味が書かれている

(2)「イルビーイング」を掘り出す

ウェルビーイングを探る前に、自分の本当の感情を探る練習として「Ill Being=悪い状態」をまず考えました。参加者はポストイットに自分が良くない、変わってほしいと思う状況や状態を書き出していきます。

例えば「外は暑いのに、屋内は寒い」「部屋が汚い」「自分に自信がない」というような個人的なことから、「仕事がスケジュール通り終わらない」「アイデアが出てこない」といった仕事面の悩みまで率直に出していきます。

(3)4コマストーリーボード

次のステップは書き出したイルビーイングのトピックからひとつをピックアップして、ウェルビーイングな状態へと解決するためのストーリーを4コマのイラストにして描いていきます。ですが、ストーリーを膨らませるのは他の参加者たち。そうすることで自分では思いつかない解決のためのアプローチやアイデアが広がり、またビジュアルにすることで直感的に課題から解決までのストーリーを把握することができます。

例えば「強風のなか外を歩くのが嫌だ」というイルビーイングに対して「強風で投球や走幅跳びの記録がどこまで伸ばせられるか、むしろ楽しむ」といった答えが出されたり、「引越しの荷造りが終わらない」という悩みに対して「荷物を送るだけでAIが仕分けから運搬まで一気通貫に行ってくれるデジタルサービス」という提案が出たりと、ユニークなソリューションが続出し、場を沸かせました。

自分のウェルビーイングを知り、未来のビジネスに転換する

(4)「ウェルビーイング」を掘り出す

いよいよウェルビーイングについて掘り下げていきます。まず、イルビーイングと同じように自分が考えるウェルビーイングを率直に書き出していきます。

ここでも「知の探求」「家事が完璧にできている」「おいしいご飯を食べているとき」などのプライベートに紐づくものから、「仕事のアイデアが採用された」「サクサク作業ができた」「人から感謝された」など仕事や周囲との関係と結びついたものまで多様なテーマが出ました。

(5)ウェルビーイングをカテゴライズする

次にポストイットに書き出したトピックを「プライベート」「仕事」「環境」「達成感」など思いつくカテゴリーに分類していきます。カテゴリーを選ぶために思考をめぐらし、ディスカッションすることでウェルビーイングのニーズが客観視でき、おもしろいアイデアにつながっていくのです。

 

(6)ウェルビーイングを生むプロジェクトの選定

ここから行うのは「ウェルビーイングであること」を実現するためのサービスやプロダクトのアイデアを生み出すことです。カテゴライズされたウェルビーイングのなかからグループでトピックをひとつ決め、どんなサービスに展開できそうか議論していきます。ここで大切なのは多数決や投票で決めるのではなく、類似サービスがなかったり、未来を予測しにくいトピックを選ぶことが重要です。

 

(7)プロジェクトの骨格をつくる

テーマをひとつに絞ったら、プロジェクトの骨格をつくっていきます。コンセプトや派生するサービスや技術面など、思い思いに書き出し、深掘りして内容を固めていきます。

(8)ビジュアルボードにビジュアライズ

ここで活躍するのが、アマナデジタルイメージング所属のアーティストたち。議論の内容をリアルタイムでビジュアライズしてその場で印刷してカードにしていきます。左脳を使った思考の言語化だけでなく、絵や図で認識する右脳にも働きかけることで、思いもよらぬヒントや発想が浮かんでくるのです。

ウェルビーイングな未来に向けたプロジェクト創出

最後はビジュアルチームが描いたビジュアルボードをもとに、各チームからウェルビーイングを実現するためのプロジェクトを発表。

 

Aチーム:「ファミザニア」

Aチームは、家族の疑似体験ができる場をつくるプロジェクト、その名も「ファミザニア」を提案。高齢化や都心部を中心に核家族化が進み、個食やおひとり様が増えるなか、「家族の団らん」がますます貴重な存在に。そこで、疑似的な家族の団らんをユーザーのライフステージに合わせて体験できるテーマパークをつくろうという奇想天外なアイデアを打ち出しました。

A班のプロジェクトアイデア
A班のビジュアルボード

Bチーム:「シンクロニシティを創出する」

Bチームは、人生に転機をもたらした“きっかけ”を可視化してくれるサービスを発表。人生というものは自分で決めているのではなく、社会や周囲の影響によって決まってくるもの。例えば友人の何気ない一言や、ふとした日常で起きた事象が後に大きな影響を与えることがあります。そうした日々の出来事を記録していくことで、人生のシンクロニシティ(共時性)を発見してくれるサービスです。

B班のプロジェクトアイデア
B班のビジュアルボード

Cチーム:「他人に優しくできる “トリセツ”」

Cチームは、感謝で溢れた世界をつくるためのサービスを提案。「人に優しくされる」という状態をつくろうにも、「優しさ」の定義は社会や文化、宗教的な背景によって千差万別です。そこで、条件や状況に応じて「優しくされた」と感じた瞬間をそれぞれデータ化。基準となる「他人に優しくできる “トリセツ”」をまとめ、そのビッグデータを企業や一般市民と共有。ユニポスのようなアプリで優しさを可視化することで、普段見過ごしていた「優しさ」に気づき、世界中を感謝で溢れさせたいという壮大なアイデアを打ち出しました。

C班のプロジェクトアイデア
C班のビジュアルボード

出来あがったビジュアルボードはPORTに併設されているアマナのFLAT LABOに送られ、その場でプリントアウトして参加者にプレゼント。木製パネルにも直接印刷することができるのも、世界最高品質の大型UVプリンターだからなせる技です。

「こんな短時間でオリジナルのボードができるなんてすごい!」と参加者の皆さんは大興奮

イベント終了後は主催者と参加者も交えた交流会を開催し、次なる共創の可能性について盛り上がりました。今回、ウェルビーイングをテーマに生まれた独創的な3つのプロジェクト。

このアイデアを踏まえ、ビジュアルチームが後日ビジュアルプロトタイピングを作成しました。

A班のビジュアルプロトタイプ
B班のビジュアルプロトタイプ
C班のビジュアルプロトタイプ

「C×4 BASE」で革新的なプロジェクトのプロトタイプ、実装を目指して進めていきたいと思います。今後の活動に引き続き注目していてください。

Photographs by Shouta Ashino
Text by Kaori Yasui

2019/10/29

  • facebook
  • twitter

一覧はこちら

LATEST EVENTS